片付けは要不要を分けるところから始まります。不要な物はゴミにするだけでなく、譲る、売る、寄付する、供養する、資源するなどのやり方もあると分かっていても、つい考えて込んで片付けの手が止まってしまう。そんな片付けの壁(ハードル)について考え方、管理の仕方を物別に考えてみましょう。
①客用ふとん・座布団セット
子どもたちも巣立って別に所帯を持ち、孫が生まれて遊びに来る時に必要な寝具。近くに住み頻繁に遊びにくる場合は、同居している家族同様に布団を用意しておく必要もありますが、それ以外は必要ないのでは? 布団を干すだけでも年を重ねると一苦労です。シーツやカバーを変えるのも手間がかかります。
以前住んでいたマンションには、子どもが巣立った後にご夫婦で住んでいる方も多くいました。その方に聞いた話によると「子ども世帯が遊びに来るときは近くのホテルに泊まってもらうようにしています」と。親世帯、子世帯それぞれが気兼ねする必要がなくなったからか、子ども世帯が遊びに来る回数も増えたとか。
私はマンションから実家に引っ越すときに、不要な布団を軽自動車に載せ、高崎市の高浜クリーンセンターに数回往復して処分しました。引っ越し先の実家にも布団はありますから…。一昔前は自宅に人を招くことも多く、座布団セットも必要だったことでしょう。
ご多分に漏れず実家にも3セット(15枚)の座布団がありましたが、1セットだけ残して処分しました。後で、片づけ講座の受講生から公民館に寄付したと聞き、私もそうすればよかったと後悔しましたけど(汗)。
②まだ使える家電・家具
ちょっと調子が悪くなった家電。直せば使えるけど、新しい家電の方が省エネだしと買い替え。でも今までの物もまだ使えるのでそのままに置いてある…。その家電、いつ使いますか?
古くなった洗濯機をテラスに置いて、靴洗い専用に使おうかと。いい案ですね~、使ってますか? 私は靴洗いにはコインランドリーを使ってます。200円で大人の靴2足洗えて100円で乾燥もできます。家電は買い替えの時に古いものは処分ですね。家電を保管・維持するにはメンテナンスや掃除の手間がかかりますから。
またテーブルやソファ、タンス、食器棚など大物の家具を処分するのはなかなか勇気がいることです。でも処分できると広くなるのはもちろんのこと、気分までスッキリします。
市町村によって違いますが、私の住むエリアは2つまで無料で処分してくれます。回収の予約をとり、当日は該当の家具を回収しやすいように戸外に置く必要があります。大きな家具がなくなるということは収納スペースが少なくなるということで、その分、物を手放さざるを得ないということです。自分を追い込む方法です(笑)、きっとこのやり方が向く方もいるでしょう。
知り合いに婚礼家具を処分した方がいました。親には内緒で…。なかなか勇気のいることです。処分の際には親への感謝を込めたと言ってました(拍手)。そんな家具のうち美品については、リサイクル家具として市民に無料提供したり、家具の移動を手伝ってくれたりする市町村もあります。
③空き箱、紙袋、空き瓶
収納に使えそうと、取っておいた空き箱、おすそ分けに使う紙袋やショップのきれいな紙袋、使い終わったジャムの空き瓶、花瓶に使えそうな空きボトルなど、ある程度は保管して2次使用するのもいいですね。ある程度は…。
これらの物はスペースを決めて、それ以上は保管しないという方法がオススメです。取っておきたい箱、紙袋、瓶ができたら、それを保管するために現在ある物をその分処分すること。分別してゴミ収集に出せば資源として活用されます。そう考えれば罪悪感も薄れて手放しやすいですよね。
以前、遺品整理を手伝った時に大量の紙袋が出てきたことがありました。長い間保管していたため湿っぽくなって使い物になりません。たぶん一度も処分することはなかったのではないかと…。生前「自分のお金で買ったり、もらったりした物なんだから自分で持っているのは勝手でしょ―」と言っていたそうです。確かにその通りではありますが、物を生かせなかった、粗末にしたことになってしまいましたね。片付けないと決めた方は、後世の方のためにその処分費を残しておいてくださいね。
④撮りためたビデオ、家族の録画
好きだった映画やドラマのビデオ。再生デッキは健在ですか?
私の場合は子供が小さかった頃に撮った録画が多数ありましたが、録画機が壊れて見ることができませんでした。
インターネットでビデオや録画をDVDに変換してくれるサービスもありますね。私はインターネットサービスではなく、実店舗(カメラのキタムラ)でDVD化しました。でもDVD化したことで安心して再視聴はしていません。そんなものですかね~(笑)
⑤無料で手に入れた粗品・ノベルティ・景品
百貨店から届くはがきを持参すると小鉢をプレゼントとか、シールを集めて応募するとオリジナルグッズがもらえるとか。ブドウジュースを買いにいったらノベルティ(おまけ)のグラス付きとそうでないものがあったので、ノベルティ付きを買ってしまったとか。家にはグラスは余るほどあるのに…です。
無料だもの得した感じ。でもよ~く考えてみてください。物を処分するのに、私たちはこんなに悩んでなかなか処分できないのに、物を増やしてしまうんですね。物はこのように自然に家に入ってきますが、物自らは出ていきません。だから物を安易に増やさないことが大切なのです。
化粧品などの試供品もためてしまって、古くなったものは使いにくく捨ててしまったなんてことはありませんか? 試供品は、現在使っている物より先に使うこと。ほかに無料(?)でもらえる割り箸やプラスチックのスプーン、フォーク。これも自然に家に入ってくる物の一つですね。
私も引き出しいっぱいに保管してしまって、引き出しを開ける度にイラっと感じてました。それ以来、無料でも必要のないものは断ることにしています。その後たまった割りばしやスプーン類は勤務先に寄付しました。
執筆者Writer
おのあけみ
実家片づけのイロハ主宰。整理収納アドバイザー。
1960年生まれ。群馬県前橋市在住。住宅情報誌の制作、営業に20年間携わり、宅地建物取引士と2級建築士の資格を取得した。多くの住宅を見学、快適な暮らしには建物本体だけでなく、物の整理収納が大切なことを実感。シニアに特化した片付けをサポートしている。
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