【専門家の収納コラム】使ったら戻す! 定位置が決まれば片付け習慣が楽に身につく
こんにちは。整理収納アドバイザーのおのあけみです。
住宅情報誌の制作に携わってきた関係で、今までたくさんの住宅を見てきました。快適な暮らしのためには収納をどのように使えばいいか、専門家の視点をまとめてみました。
収納は広ければいい、わけではない
新居への引っ越しは断捨離のチャンス!くれぐれも不用品を持ち込まないで
収納は広さ(床面積)に対して一般的に10~15%、マンションで10%、戸建てで15%といったところでしょうか。
今人気のある平屋はマンションと同じ10%くらい。
100㎡の戸建てでは約9畳、80㎡のマンションでは約5畳となります。
収納が多い住宅は人気があり、収納はどんどん広くなっています。
でも収納が広くなっても家は片付きませんでした。
収納スペースは床面積だけでなく立体で考える必要があります。階段下の収納は高さがないので収納力は少し下がります。
私たちは物が増えたら収納を買い足してきました。その結果、物にあふれ身動きができない状態になっています。
断捨離ブームでやっと物を減らす(処分する)という考え方が広まりました。収納は広ければ広いほどいいとは限りません。広いと物のストックが多くなります。
適正量を管理するためには現状の収納に入りきらない物は持たないというルールも効果的です。
収納は生活動線上に配置しよう
帰宅後玄関からパントリーへ直行して仕分け収納
収納とは「物の定位置を決め、使いやすいように収めること」です。
収納の位置、物の定位置を決めるのが重要です。
例えば、玄関から直接キッチンのパントリーに行ける、キッチンから家事室兼納戸を経由して洗面脱衣室へ、玄関にコート掛けや手洗い場を設けるなど。
家事室では室内干しやアイロン台、下着や部屋着の収納などを設けるのも一案です。
家事室からクローゼットにもつながると「しまう」という家事が楽になります。
畳んだ洗濯物がリビングに置き去りになるのも少なくなるのではないでしょうか。
ストック品は「使う場所に」or「一カ所にまとめて」
まとめて収納することで在庫管理がしやすく、しまい忘れが少なくなる
ドラッグストアやコンビニエンスストアが24時間営業している時代、たくさんのストック品は必要ありません。ストックがなくなったら補充するくらいの感覚で。
キッチンや洗面所、浴室などで使用するものは「使う」場所に収納するのが便利ですが、在庫管理の点からすると、廊下収納や納戸など一カ所にまとめて収納するのもおすすめです。
買い忘れや買いだめがチェックしやすく、保存忘れなども予防できるからです。
ゆとり収納で取り出すストレスを減らす
見渡せる収納はコーディネートがしやすい
収納は使う時に余分なストレスを感じないようにするためには選びやすく、取り出しやすいことが大切です。
選びやすいという点では見渡せる収納をおすすめしています。
例えば洋服の収納。
ハンガーラックでも引き出し収納でも、持っている物が一目で分かると選びやすくコーディネートもしやすくなります。
ハンガー掛けでは洋服の上に洋服を重ねる二重掛けをしないこと。
引き出し収納は畳んだ洋服を重ねず立てて収納しましょう。
取り出しやすいという点では、ぎっしりと10割収納するのではなく、ゆったりと7割収納くらいを心掛けてください。
しまう時の「奥行き」を考えていますか
奥行が深い棚も、これなら奥の物もワンアクションで取り出せる
棚板の奥行きは浅すぎても深すぎても使いづらい。
食器や本は30㎝、キッチン家電45㎝、衣類60㎝、布団90㎝くらいが使いやすく、戻しやすいと言われています。
深すぎる棚を有効活用するには、手前と奥に高低差をつけ奥の物を取り出しやくしておくといいでしょう。
例えば和室の押し入れは奥行きが深いので、奥にカラーボックスを置くと手前と奥で使用できて収納量が増え使いやすくなります。
また棚板は高さ調整のできる可動式にすると収納したい物が変わっても対応できるので便利です。
片付けは「物の定位置に使ったら戻す」の繰り返し、つまり習慣です。
一度決めた定位置が使いづらいなら、P(計画)D(実行)C(評価)D(改善)を繰り返し、定位置を見直すことです。
戻すことが苦にならない定位置が決まると片付けもグンと楽になります。
でも収納を考える前に、まず整理。残す物を取捨選択して自分で管理できる量に物を絞ることが大切です。
執筆者Writer
おのあけみ
実家片づけのイロハ主宰。整理収納アドバイザー。
1960年生まれ。群馬県前橋市在住。住宅情報誌の制作、営業に20年間携わり、宅地建物取引士と2級建築士の資格を取得した。多くの住宅を見学、快適な暮らしには建物本体だけでなく、物の整理収納が大切なことを実感。シニアに特化した片付けをサポートしている。
おのあけみさんブログ