パナソニック内装建材が群馬工場(沼田市)で生産する環境配慮型木質床材「サステナブルフロアー」
県と協定 販売1坪当たり約38㌔の炭素貯蔵
人と環境に優しい床材を使って森林保全に貢献しよう―。パナソニック内装建材(大阪府)は、群馬工場(沼田市井土上町)で生産する環境配慮型木質床材「サステナブルフロアー」(4月発売)の販売に力を入れている。同社は、群馬県との県有林整備パートナー事業実施協定に基づき、床材の販売1坪当たり、両手のひら相当の広さ(240平方㌢)の森林を整備。約38㌔の炭素貯蔵(二酸化炭素換算)効果がある。
「サステナブルフロアー」沼田市の群馬工場で生産
群馬県との県有林整備パートナー事業実施協定で設けられた「ぐんま つむぎの森」=川場村
外壁ガラス面に床材の環境配慮を訴える大きなパネルを飾る高崎ショウルーム
◎川場村に「ぐんま つむぎの森」
同協定は昨年8月31日に締結された。5年間にわたり、県有林2.0㌶で除伐などの整備を行う。協定地は沼田市中心街から北へ約15㌔の場所にある県立森林公園21世紀の森に隣接するアカマツ林(川場村川場湯原)で、「ぐんま つむぎの森」と名付けられた。
群馬工場で生産された「サステナブルフロアー」は全国に出荷され、販売現場で積極的にPRされている。高崎市問屋町の高崎ショウルームでは、外壁のガラス面に大きなパネルを飾り、道行く人々に床材の環境配慮を訴えている。施設内でもディスプレーしている。
建築廃材やバイオマス塗料を活用
群馬工場で生産した「サステナブルフロアー」を持つ吉谷さん
◎「森林保全」「資源有効利用」「脱化石燃料」がコンセプト
サステナブルフロアーは「森林保全」「資源有効利用」「脱化石燃料」をコンセプトに開発された。群馬県と協働で森林保全に貢献するほか、建築廃材や未利用の木材をチップ化してリサイクルした基材「サステナブルボード」を使うことで森林資源を有効に利用する。表面塗装には植物油脂由来の「バイオマス塗料」を業界で先駆けて採用した。
実用面でも、汚れや傷に強い基本性能を備えるベリティスシリーズの高い機能性を実現。抗ウイルス塗装、車いす使用可、床暖房対応などの特長がある。商品の種類は突き板(4柄)、シート(9柄)の2タイプ。突き板には、独自のエイジング技術で木材が持つ本来の美しさを引き出したマイスターズ・ウッドを用いている。
新築やリフォームで「サステナブルフロアー」を採用した場合、施主には使用量に応じて森林保全への貢献度を数値化した「体感書」を発行している。
◎床作り60年「恩返し」
同社は、パナソニックハウジングソリューションズ(大阪府)のグループ企業。開発を担当したソリューションズの吉谷勇亮さん(建築システム事業部)は「群馬工場は床を作り続けて60年。サステナブルフロアーを通して恩返しをさせていただくとともに、地元の方に床材や工場を身近な存在として認識していだだければと思います」と話している。
床材からメッセージ 万博でもPR
床材を生産して60年のパナソニック内装建材群馬工場(沼田市)
パナソニックハウジングソリューションズは2022年4月、パナソニックのグループ再編に伴い、ハウジングシステム事業部が事業会社化して設立した。
新体制でブランドスローガンに「グリーンハウジング」を掲げ、新たな環境配慮型商品を模索する中で、「面積が広い床材から取り組めばお客さまへのメッセージになる」との考えから、第1弾として「サステナブルフロアー」を生み出した。
開発では、初めて扱う「バイオマス塗料」で床材の基本性能を確保するのが難題だった。床は人が生活する中で最もストレスがかかるだけに、高い強度性能が求められる。塗料メーカーと何度も検討して改良を重ね、現行商品と遜色ないレベルに到達できた。
2025年4月に開幕する大阪・関西万博では、パナソニックのパビリオンで「サステナブルフロアー」をPRするほか、要人を接待するVIPルームの床材に利用するという。