永大産業のシステムキッチン「ラフィーナネオ」。関東住設産業がキャビネットを製造
永大産業グループ 前橋に本社・工場
永大産業グループの住宅設備機器メーカー、関東住設産業(久米直哉社長)は、群馬県前橋市小坂子町の芳賀東部工業団地に本社・工場を構える。主にシステムキッチン、洗面化粧台などの木製キャビネットの生産を手がけている。
木質材料は「超低ホル仕様」
システムキッチンの「ラポッテ」(左)と、人気の洗面化粧台「シャンピーヌプレーン」
◎販売額の7割は親会社向け
同社は、相手先ブランドによる生産(OEM)や、設計・デザインなども請け負うODMにも対応している。自社製品のブランド化を見据えて外販事業にも力を入れており、人材を求めている。販売額の7割は親会社の永大産業向けで、他に住宅設備会社やハウスメーカーなど数十社と取引がある。
主力の永大産業向けシステムキッチンは、中高級グレードの「ラフィーナネオ」と普及タイプの「ラポッテ」の2シリーズ。扉は約60色を設定し、トレンドの木目調やグレー系が売れ筋という。洗面化粧台は5シリーズを出荷。中でもコストパフォーマンスに優れた「シャンピーヌプレーン」は、アパートや住宅2階用などの用途で人気がある。
◎化粧板シート貼り加工が特長
製造では「化粧板シート貼り加工」技術を生かし、シート貼り工程から扉加工まで一貫生産できるのが特長。部材のサイズを自在に加工できるため、製品を1台からでも作れる。工場で製造、組み立てられたキャビネットは、出荷先で別の部材が付加されて完成品となる。
キャビネットを構成する木質材料のパーティクルボードは、永大産業が「空気環境」に配慮して開発した。シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドの放散量が空気1㍑当たり0.04㍉㌘以下の「超低ホル仕様」で、国の定める最も厳しい基準(F☆☆☆☆)を大幅にクリアしている。
自社製品の外販強化
前橋市の芳賀東部工業団地に本社・工場を構える関東住設産業
◎事務所棟にショールーム
ボード加工技術を活用して、ミニキッチン、玄関手洗い、玄関収納、テレビボード、リビングボードなどの自社製品を増やしている。樹脂の成型・加工技術もあり、人工大理石のシステムキッチン用カウンター、シンクも生産している。
マーケティング部の小林誠悟取締役部長は「永大産業向けの生産だけでなく、企画・開発を含めた外販事業にもさらに力を入れ、グループ全体の業績を上げていきたい」と話す。事務所棟に自社製品のショールームを併設している。
同社の前身である「関東産業」は1961年に設立。86年に本社・工場を現在地に設けた。ノーリツグループを経て、2020年に「関東住設産業」となり、永大産業グループとして事業を展開している。従業員は99人(7月末、派遣社員含む)。
「ブランド立ち上げたい」 堀田つかささん(設計営業G)
開発から納入まで手がけたミニキッチンをPRする堀田さん
関東住設産業が強化する外販事業では、商品の企画・開発、設計から営業まで行うマーケティング部設計営業グループが重要な役割を担う。高崎工業高建築科卒の堀田つかささん(30)は実務のメインとして活躍している。
◎開発から納入まで担当で自信
昨年、手がけたミニキッチンの開発では、新規の会社から相談を受け、「何もないところからスタートして納入まで担当できた最初のモデルになった」と自信をつけた。
図面を起こし、扉の色や収納の仕様などについて打ち合わせや検討を重ね、半年以上かけて完成させた。扉はトレンドの木目調を取り入れ、木目の入り方や色合いにまでこだわってデザインを決定。キャビネットは人気色のダークグレーで高級感を演出した。
◎家に関連する仕事に
高校で建築を学んだ堀田さんは、卒業後は家に関連した職に就きたいと考えていて、学校で同社の求人票を見つけた。製造の人員を募集していたが、入社試験の面接で「図面が描けるから設計関係の仕事がしたい」と訴え、思いをかなえた。
会社では、業界紙を読んだり、写真共有アプリ「インスタグラム」を見たりして、常に最新情報を仕事に生かそうと熱心に取り組む。普段は会社の制服を着ているが、営業や打ち合わせで出張する際は、自前のスーツを着込んでさっそうと出かける。
入社12年目のキーパーソンは「これまで培った知識を生かして、自社ブランドを立ち上げたい。インスタなどのSNSを使って会社の情報を積極的に発信したい」と意欲を燃やしている。
製造現場の様子
(関東住設産業提供)
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