紙整理のこつを専門家が伝授
紙一枚は厚さ1ミリにも満たない。一枚ならかさばることもないけれど、その紙を保存するか否かの判断を後回しにすると、まるで地層のようにたまっていく。そして下層の紙を取り出す時に崩れて散乱。結果、必要な紙も見つからないということが多い。今回は、整理収納アドバイザーの目線で、手ごわい紙の管理について考えてみたい。
「もしかしたら必要かも」をやめてみよう
書類の一時置き場をつくり、少なくとも一週間に一度は見直したい
不動産、税金、資産、生命保険、社会保険、自動車保険、通販、公共料金、レシピ、取扱説明書、学校関係書類—。
紙は郵便受けから、学校から、行政機関から、商業施設から、あらゆるところから家の中に入ってくる。
家に持ち込まないという訳にはいかず、増え続ける紙は「入口」で阻止するしかない。
紙が手元にきたら、すぐに持ち込むべきか否かを判断し、必要ない紙をその場で処分する。
玄関にゴミ箱や一時的な置き場をつくるのも一案だ。
例えば自動車保険の封書。必要なのは証書だけのはず。その証書や契約内容資料も今はデジタル上で確認できる。
たまった紙を見直すには時間もかかるし、考えただけでウンザリする。
まずは「必要かもしれないから取っておく」をやめてみよう。
保存が必要な紙とは?いつまで保存、どう収納
生活書類を立てて収納。取り出しが楽にできる
紙は必要なものを選ぶこと、そしてすぐに取り出せることが大切だ。
では、必要な紙とは何だろう。
例えば、資産(不動産、預貯金、株・証券など)、生活(ライフライン・税金系、カード系、保証書系など)、社会保険(年金、健康、医療、介護など)、 教育(学校行事・提出物系、塾系、卒業証書系など)、個人情報(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)など。
保存期間は、確定申告が必要な場合でもおおむね10年。新しい書類が届いたら、期限切れはその場で処分しよう。
ID・パスワードはデジタル上の管理も積極的に取り入れてみて。
収納方法はざっくりと分類に分けて、ファイルに立てて収納を基本とし、しまい忘れのないよう、いつでも取り出しできるように工夫しよう。
増える学校からのお便りは子ども別に
冷蔵庫に貼った時系列行事書類(写真は加工してあります)
子育て世代は、学校からのお便りが多くなり、書類の管理も一苦労。
子育て世代の書類管理は、大きく分けて紙とデジタルに分かれている。
まずは紙ベース管理。きょうだいのいる家庭では子ども別のバインダーを用いて、行事書類を時系列に並べ、行事が終了したら廃棄するとよい。
年間行事と献立表はスマートフォンに取り込み、外出先でも確認できるようにしておくと便利だ。
私が子育てしていた20数年前は、学校からの書類(学級だよりなど)は全てファイルしたていた。けれど、その後は読み返すこともなく、子どもの「いらない!」との一言で数年前に処分した。
デジタルでの管理は容量に注意
学校からの連絡は学校専用アプリで
最近では、学校からのお便りは学校専用アプリやメールといったデジタルで管理されることが多いと聞く。
ただ、まだ紙のお便りもあり、写真に撮って、スマートフォンのアルバムに保存する方もいるのでは。
写真撮影による管理は紙が増えない、書類を無くさない、外出先でも確認できるなどのメリットがある。
ただ、撮りすぎると膨大な量になり、アルバムから必要書類を探せなくなるなどのデメリットも。
不要な写真は定期的に削除したり、取り込んだデータを検索できるアプリを利用したり、管理方法を工夫しよう。
捨てられない物ナンバーワン!子どもの思い出の品、どうしてる?
段ボール箱の中で眠るランドセル。活かせる方法を考えよう
子ども関係の片付けでは紙書類のほか、なかなか難しいのが思い出の品。
卒園、卒業のタイミングには、大量の文集や絵、書道などが自宅に増えていく。
子どもの成長とともに物は多くなり、全てを保存しておくのは難しくなる。
思い出の品を撮影して保存するという方法もありますが、果たしてその写真は見返すでしょうか。
写真にしたら、今度はその写真の管理が必要になる。
例えば、わが子が6年間背負っていたランドセル。
私の場合は、ちょうど東日本大震災の時に中学校で寄付を募っていたので提供した。
現在はランドセルメーカーなどの寄付先もあるので検討してみてどうだろう。
寄付という処分方法は罪悪感が薄れて手放しやすい。ほかにミニランドセルに作り替えるなど、形を変えて保存しやすくする方法もある。
子ども自身の思い出の品は、親にはなかなか処分できない。
親は自身が手放したくないものを自分でセレクトして、後は子どもが成長した時に判断を任せるしかほかに手はないと思う。
紙も思い出の品も保存ではなく、残す物を選ぶ整理が大切だ。
紙の整理はできるだけ早く、思い出の品は見切りが難しいので片付けのスキルが上がってからがオススメ!
執筆者Writer
おのあけみ
実家片づけのイロハ主宰。整理収納アドバイザー。
1960年生まれ。群馬県前橋市在住。住宅情報誌の制作、営業に20年間携わり、宅地建物取引士と2級建築士の資格を取得した。多くの住宅を見学、快適な暮らしには建物本体だけでなく、物の整理収納が大切なことを実感。シニアに特化した片付けをサポートしている。
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