OMクワトロソーラーの快適な住まいに

築40年の家を大改修

　サワラの板張りとガルバリウムを組み合わせたモダンな外観が目を引く木造２階建てのK邸。木の持つ風合いが、庭の草木や周囲の自然と調和して、気品のある静かなたたずまいを見せている。

　Kさんら３世代４人が３年前まで暮らしていた築40年の住まいは、スケルトン・リフォームによって全く新しい家に生まれ変わった。

　工事を行ったのは、職人技と自然素材を生かした家づくりで知られる野積建設。柱や梁などの骨組みだけを残し、内装や設備をすべて解体して行うスケルトン・リフォームは、高度な技術を要する。古民家再生の実績を持つ同社は、幅広い建築知識と匠の技を駆使して完成させた。

　芸術的な外観の美しさに加えて、「OMソーラーシステム」を導入し、耐震補強を行うとともに断熱性能をアップ。冬暖かく夏涼しい快適な住まいに仕上がり、Kさんや家族を喜ばせている。

健康的な自然素材の家

　工事は古い家の解体からスタート。柱・梁などの骨組み以外はすべて取り除き、基礎の補修から梁の補強、耐力壁の設置、屋根工事、外壁や基礎断熱の工事、内装や設備機器の設置まで、新築以上の工程を一つ一つ丁寧に積み上げていった。

　「間取りも大幅に変えて、便利な動線を確保し、快適な暮らしの演出に努めました」と、同社設計室の野積基子所長は振り返る。北向きの暗くて寒いキッチンは、リビングやダイニングと一体型の明るく広々としたLDK（20畳）に変更。家の顔である玄関も、６畳の和室をつぶして自然石洗い出しの伸びやかな土間と広いホールを整え、木の香りが漂う優しく上品な空間に一変させた。

　室内の床は無垢のヒノキ、壁は漆喰や無垢の板、土佐和紙など自然素材を多用。日差しや風通しを考えて、軒の長さを計算し窓の位置を工夫するなど、パッシブデザインと組み合わせて、より健康的な住まいを実現した。

省エネに優れたOM

　屋根に降り注ぐ太陽熱で暖められた空気を床下へ送り、蓄えた熱で家全体を暖めるOMソーラー。K邸には、専用の太陽光発電パネルで発電時の熱も暖房や給湯に利用するOMクワトロソーラーを設置した。「パッシブデザインと相性がよく、省エネ性にも優れています」と野積所長は話す。

　さらに、大改修を安心・安全な住まいにするための好機と捉え、断熱・耐震化にも力を注いだ。土台や柱に根継ぎをして骨組みを強固にし、断熱材として壁に高性能グラスウール、屋根にはセルロースファイバーを施工。野積建設が標準仕様としている高気密・高断熱・高耐震の住宅へと大変身を遂げた。

　「家はただ住まう箱ではなく、そこに暮らすご家族を癒やし育む空間です」と語る野積所長。その崇高な家づくりのコンセプトを共有するスタッフや職人たちの思いは、K邸にもしっかりと投影された。スケルトン・リフォームはやや特殊だが、住まいに思い入れがあって建て替えを避けたい人、建築条件によって建て替えができない人にはうってつけの改修方法だろう。