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東西に幅の狭い敷地を最大限生かしたスクエア型の総二階建て。タイル張りの明るい外壁と方形の黒い屋根が特徴のS邸は、現代的な住宅デザインといったイメージでありながら、ひとたび玄関ドアを開けると、そのギャップに驚かされる。
吹き抜けの伸びやかなホールには太い梁が渡され、壁一面には凹凸のある重厚な黒い石を張り、ワラを練り込んだ珪藻土の塗り壁と調和している。なぐり加工を施した表情豊かなスギ板が床に張られ、日本の伝統技術を生かし、自然素材に覆われたぬくもりのある空間が広がっている。施主が素材にこだわり、熟練の自社大工を率いる建徳によって実現した、和モダンの住まいだ。
間取りだけで約1年掛かったというS邸。施主の要望に耳を傾け、じっくりと家づくりに向き合った。「練りに練ったからこそ物事はスムーズに流れて、お施主さんの納得した家が完成しました」と、徳江司郎社長は自信をのぞかせる。
間取りはゆったりとした縦配列のダイニング・キッチンと、格子戸でさりげなく空間を隔てたリビングがL字型につながる。床はサクラの無垢板が用いられ、節ありの腰板と珪藻土の壁、板張りの天井など、自然素材の優しい風合いに包まれる。開放的な吹き抜けのリビングは太い梁がアクセントなり、さらに間仕切りのない続き間の和室が、より一層空間の広がりをもたらしている。
前述の玄関ホールに負けないよう、突き当たりの階段には社長自ら岐阜で買い付けたケヤキの無垢板を採用し、壁面には三角形の木が連なる遊び心のある意匠壁を造作した。
群馬県産材を積極的に用いることは、建徳の家づくりの特長のひとつ。S邸も軸組の95%は県産材を使用し、最大限の補助金対象となっている。性能面に目を向ければ、ゼロエネルギー住宅や安全性に優れた家づくりを行っている。耐震等級3の取得や国が認める建物の省エネ性能を表す指標であるBELS5つ星も獲得済みだ。
外断熱と二重通気を組み合わせた「ソーラーサーキット工法」によって温度と湿度のバリアフリーを実現し、夏も冬も快適な住み心地。9月から暮らし始めたばかりのSさんご夫妻は夏の暑い時期に、まだ施工中の段階で建物内に入った瞬間「あっ涼しい」と、真っ先に声に出したという。これから迎える寒い冬も多いに期待が持てそうだ。
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