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温かみのある木目調の外壁に満たされた平屋のU邸。深くせり出した板張りの軒天井の下にタイル敷きのテラスを設け、そこにガーデンチェアとテーブルを置いて、手入れの行き届いた畑と庭をのんびりと眺める。
空き家になっていた古い実家を所有していたUさんご夫妻。定期的に草を刈るなどして長年管理を継続していたが「本当に大変だった」と振り返る。「この土地を利用して畑の作業をしたい。休憩するための小屋もほしい」というのが事の始まり。それには空き家を解体し、大きく成長したイチョウの木を切り、更地にする必要があった。
相談先は長く付き合いのある山崎工務店。18年前に同社が建築した住み心地のいい木の家でご夫妻は現在も暮らしている。吹き抜けが開放的な2階建てで、板張りの勾配天井が特徴だという。
ご夫妻は同社と具体的な話を進めるうち、「休憩するにはトイレやキッチンもほしい。収納もあれば」と要望は膨らんでいった。また時を同じくして、東京に勤務する長女がコロナ禍により、帰省してリモートワークをすることに。こうして当初予定していた休憩小屋は、ご夫妻と長女が自由に使えて宿泊もできるセカンドハウスに形を変えた。
室内は間仕切りのないワンフロア。ご夫妻の自宅同様、板張りの勾配天井に梁を渡し、太い大黒柱に支えられた高さのある空間は、コンパクトな平屋でありながら伸びやかな開放感が得られ、無垢の優しい風合いが心地良い。リビングの東側にはベッドが置かれ、その手前に配置したピアノが目隠しとなって、ひとつながりの空間をさり気なく隔てている。
壁付けのキッチンはスペースの確保に加え、動線もスムーズ。左隣には食品庫と勝手口を設け、右隣の洗面脱衣室には収納棚を造作した。リビングの壁面に設けたカウンターテーブルは、長女がワークスペースとして利用している。
すでに完成してから1年半が経つU邸。ご夫妻がどのように利活用しているのかと尋ねると、畑の手入れをするため、特に夏場は毎日のように自宅から車で通っているとのこと。畑作業の合間にテラスでひと息ついたり、昼食時はダイニングキッチンを使って食事をしたり、時にはリビングでのんびりとくつろぐ。窓越しに眺める庭の景色は何物にも代えがたいそうだ。「車の運転ができなくなったら、畑の世話をしながら二人でここに住んでもいいかな」とご夫妻は未来の展望も語ってくれた。
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