旅館の風情を随所に取り入れた 落ち着きのある和モダンの平屋

造作カーポートが映える

「旅館のように落ち着いた雰囲気の家」をテーマに掲げ、念願の家づくりに取り組んだHさんご夫妻。完成したばかりの住まいは延床面積約51坪のゆったりとした和モダンの平屋。重厚な瓦を乗せた、おおらかな切妻屋根と薄茶色の外壁が調和し、玄関口の木製の引き戸や目隠し格子がそこはかとなく旅館の風情を醸し出している。

　建物に併設する木製のカーポートも造作によるもの。既製品には出せない温かみとオリジナリティーを際立たせながらも、平屋の外観デザインとの親和性が高く、家そのものをより一層引き立たせている。

　建築したのは安中市に事務所を構える横山建設。厳選した無垢の木と自然素材を用い、手間暇を惜しまない丁寧な仕事ぶりと、暮らしやすさを追求した提案力が好評の工務店だ。

自由度の高い上質な家づくり

　ご夫妻は転勤が多く、長い期間を社宅で暮らしていたという。その間に姉妹が生まれ、いよいよ手狭に感じるようになったことから、満を持して憧れのマイホーム計画に動き出した。築年数が古く、なおかつ既存の間取りの中で生活していた社宅の経験を踏まえ、ご夫妻が特に重視したのは自由度のある家づくり。同社への決め手は自由度の高さに加え、横山朋史専務と奥さまの気さくで相談しやすい人柄によるところも大きい。打ち合わせは土地の農地転用期間やコロナ情勢により一進一退しながら、実に３年以上の時を経て、細部にまでこだわりの行き届いた納得の住まいに仕上がった。

　Ｈ邸はキッチンを中心に据え、開放的でありながら場所ごとにしっかりとゾーン分けされている点が大きな特徴である。

家族時間とプライベートを充実

　リビングはスギ板の堀座卓を設けた畳敷きの空間。障子戸で開閉可能な続き間の和室を有し、キッチンとリビングは対角線上に配置されている。キッチンはすっきりとしたⅡ型。生活感が出ないように食器棚や冷蔵庫、ゴミ箱などはリビングからは見えない場所に指定席を設けた。キッチンの横には屋根付きのテラスが備わり、アウトドアリビングを楽しめる。

　「家族との時間はもちろん、プライベートも大事にしたい」という思いから、玄関から子ども部屋や寝室につながる長い廊下があるのもこだわりの一つだ。造作収納も各所にリクエストした。

　ご夫妻に新しい暮らしへの抱負を尋ねると「ほっとくつろげる家ができました。子どもたちが寝た後は夫婦でお酒を飲む時間がとれたらいいですね」とほほ笑んだ。