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越屋根と鬼瓦を配した重厚感あふれる藤岡瓦の屋根に、腰板を回した漆喰の壁。南面に張り出した深い軒を、長さ15㍍の北山スギの磨き丸太の軒桁と5本の柱がしっかりと支えている。思わず息をのむほど豪快かつ繊細な日本建築の粋を集めた2階建ての福田邸は、周囲の景観に溶け込むように落ち着いたたたずまいを見せている。
建築を手掛けたのは、木の家専門店で知られるマルキ。地元の木を使い、無垢の味わいを大切にしている飯野勝利社長をはじめ腕利きの職人たちが、一本一本墨付けをし、手刻みをして組み立てた。まさに「素材」と「技術」が融合した完成度の高い仕上がりだ。
「完成から6年たちますが、家の内外とも少しも古さを感じません。むしろ経年美が増し、貫禄さえ加わってますます愛着が深まりました」とご主人。お気に入りの和の趣にじっくり浸っている。
延べ床面積が50坪を超える純和風の福田邸。4枚の格子戸からなる広々とした玄関に入ると、新築直後のような爽やかな木の香りに包まれる。見事な格天井と腰板を施した漆喰壁が、和の雰囲気を醸し出している。
家族が集うリビングは、開放感のある吹き抜けで、何本もの太いアカマツで組まれた梁が現し造りになっていて迫力満点。床はスギの浮造り(厚さ30㍉)、壁は漆喰とナチュラルな素材に囲まれ、団らんの場にふさわしい明るく居心地のいい空間が広がる。
スギの帯戸を開くと、隣接する7.5畳の和室につながる。8寸角のヒノキの大黒柱、床の間を飾る天然絞り磨き丸太の床柱に土壁、押し入れの京唐紙、窓側の網代天井など、日本建築を彩る雅な素材が随所に見受けられる。また、洗面脱衣室の壁や天井は湿気に強いサワラ、浴室の壁はヒノキと、無垢の良材が適材適所に使用されている。
京都の神社や寺を見学して、本格的な和風建築に憧れたというご主人。「マルキさんにお願いすれば、きっと満足のいく木の家を建ててくれると確信していました」と笑顔で振り返る。
無垢材をふんだんに使い、快適な空間に仕上げられるのは、同社が原木の仕入れから製材・乾燥・加工・設計・建築までを一貫して行える体制を整えているからだ。匠の技を駆使して、オリジナルの建具やテーブル、ついたて、棚などの造作家具がそろえられるのも、同社の魅力の一つとなっている。
無垢の木に囲まれた快適な生活。これをさらにアップさせているのは、飯野社長が取り組む高性能な家づくりだ。断熱・気密性を高めつつ日照や風通しなどを考えたパッシブデザインも追求している。「寒い朝でも室内は無暖房で快適に過ごせます」と奥さま。屋根に搭載した6kWの太陽光発電システムのおかげで、年間の電気代は黒字が続いており、高い省エネ性能を実感している。
木材をはじめ瓦、土、石など素材すべてにこだわり、手間暇を惜しまず丁寧に造り上げた福田邸は、家族みんなが安心して暮らせる本物の木の家となっている。
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