不思議な縁でつながったTさんとMさん。
前回までの話はこちら→「ほんとにあった」空き家活用の話 ~群馬県上野村 編~ その1
Mさんは、Tさんの話を聞くうちに一度、家を見てみたいという気持ちになっていた。なかなか仕事で忙しく時間が取れない中、5月のGW明けに見に行くことができた。
築100年超えの元養蚕農家の家。家族の状況で増改築とリフォームを繰り返してきた。新しくはないが、Tさんの両親が大切に住んできたのがわかった。
ひと目で気に入り、前向きに検討し始めたMさん。部屋数の多さや間取りの複雑さなど気になる点もあったが、草木染めの作業場が欲しい、そしてゆくゆくは民泊などもやってみたい、と夢がふくらみ、それもプラスに捉えられた。
「私住みたいです!」と、返事するまでにさほど時間はかからなかった。
実際にMさんに住んでもらうにあたり、どういった選択肢があるのかを坂本さんが両者に対して、ていねいに提示していく。
売る、貸すなどの方法もあったが、最終的に「贈与」という形をとった。
贈与の場合、110万円までは無税、それを超える分はかかるが、双方にとって負担の少ない方法だった。
贈与に必要な書類を整えたり、必要な役所への訪問をしたり、という事務手続きはすべて坂本さんが担当した。それもTさんとMさんにとって、ありがたかった。第三者に間に入ってもらうと、進みも早い上に、遠慮せず気になる点を確認できるからだ。
11月には書類も整い、12月には贈与契約が完了した。Tさんが「なんとかしなくては」という思いで動き出してから約1年で、家を大切にしてくれる人に巡り合えた。「思ったより早く進んで、正直ほっとしています」と話した。
今、Mさんはお風呂や水回りのリフォーム、不要物の処分などをしながら、最適な住まいに作り替えている途中だ。
「2階の物置に、未使用の繭、糸、真綿などもあったんです。仕事に活用できますし、ありがたいです」とMさん。これからの生活が楽しみだと話してくれた。
これは、すみかくらぶ編集室の「空き家・空き地お悩み受け付け窓口」への一本の電話から始まった本当の話。
所有の空き家・空き地に価値がないと考えている人も、ほかの人から見たら価値があるケースも。自身で判断せず、あきらめずにまずは一度相談してみて。
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