前橋市は市内に6000件以上ある空き家の利活用と移住・定住促進のため、昨年12月から空き家バンク事業を始めた。インターネット上に外観の写真や概要を区域ごとに紹介している。市内外からの問い合わせも多く、先月末までに4件成約した。空き家の現状や空き家バンク事業、補助制度について聞いた。
取材協力:前橋市 都市計画部 建築住宅課
市内に6000件以上の空き家があります。解体される空き家もありますが、それを上回る数で新たに増えているのが現状です。
すぐに売れる、貸せるという物件がある一方で、例えば所有する方が施設に入所するためにそのままにしてあるというケースや、管理が行き届いていないケースなど実態はさまざまです。
2015年に不動産関係団体と協定を結び、空き家を「売りたい」「貸したい」人と、「欲しい」「借りたい」人とを結びつけるために「前橋市空家利活用ネットワーク事業」を行っています。市内に不動産業者が多く、空き家情報も数多く保有しているため、空き家を探す人は、業者を通じて希望する区域、予算などから探すほうが早いということもあり、これまで空き家バンク事業は行っていませんでした。
空き家バンクは、移住・定住促進の一環として昨年12月に始めました。市の移住・定住総合サイトのコンテンツの一つとして、インターネット上に掲載しています。区域ごとに掲載し、前橋にゆかりのない人にもどんな物件があるか、市内の〝相場〟のようなことが分かります。
「移住したら畑を耕したい」と希望する人が多いことから、農地付き空き家も紹介し始めました。市内で農地を取引する場合の下限面積は40アールですが、農地付きの空き家バンク物件に限り1アールから取引できます。
スタート時は、売却や賃貸の19件を掲載しました。昨年12月に1件、1月に3件が成約となり、内訳は売却2件、賃貸2件でした。新規物件の情報も追加して、随時更新していますので、ぜひご覧ください。
令和3年度は「空き家リフォーム補助」「二世代近居・同居住宅支援補助」「老朽空き家対策補助」「住宅の外装改修補助」という大きく4つの補助制度を設けました。
「空き家リフォーム補助」は、空き家を住宅として活用するためのリフォームや、学生や留学生など2人以上が共同して居住するシェアハウス、地域のコミュニティースペースなどの「まちづくりの活動拠点」として活用するために行う改修工事に対する補助です。倒壊などのおそれや将来的に特定空き家になる可能性がある空き家の解体工事に「老朽空き家対策補助」、60歳以上の人が住んでいる築25年以上経過した戸建て住宅の外装改修工事にかかる「住宅の外装改修補助」もあります。
「二世代近居・同居住宅支援補助」は市独自の制度で、毎年、市民から多くの反響があります。親や子が直線距離で約1キロメートル以内に「近居」もしくは同居するために空き家を取得して改修、または解体して跡地に新築する工事に対する補助です。
新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークする人が増えたことや、これらの補助制度が浸透したため、昨年度は前年度より転入者が増えました。市外からの転入者は1人につき20万円の加算(4人まで)があり、ほかに子育て世代支援として、中学校修了前の子1人につき10万円(4人まで)、若年夫婦支援として、夫婦とも39歳以下の場合10万円の加算があります。
いずれの制度も補助率は消費税を除く工事費用の3分の1以内で、上限額は各制度に応じて異なります。本年度の申請受付期間はすでに終了しており、来年度については検討中です。申請には市への事前相談が必要になるなど、いくつかの条件がありますので、ぜひ、早めに市の空家利活用センターにお問い合わせください。
お問い合わせ:前橋市都市計画部建築住宅課 空家利活用センター
TEL.027-898-6081(直通)
※掲載写真はイメージです