相続の現場から見た「空き家」の話

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相続の現場から見た「空き家」の話
       

空き家になってしまうきっかけの一つに相続がある。相続人たちが実家を離れ、別々に暮らしている場合や、持ち家率の高い本県では、相続する段階で相続人がすでに自宅を所有しているケースも多い。

 

相続による空き家の現状に詳しい高崎市の行政書士、廣兼喜久恵さんに、相続に関連したケースを紹介してもらった。

          
ケース1 管理する人がいない空き家
  

          

子どものいない夫婦のケース。先に夫が亡くなり、その1年後に妻が亡くなったのですが、夫が亡くなった時に相続が行われていませんでした。そのため、空き家となった夫婦が住んでいた家の固定資産税の請求が、近所に住む夫の兄に届きました。

 

兄は代表相続人として毎年、税金を支払ってきましたが、高齢になってから、自分が亡くなった後は息子に請求が行くことに気づいて、自分の代で清算しようと決めました。13人もの法定相続人に手紙を書きました。「空き家は誰もいらない」ということで売却することにし、やがて200万円で売却できましたが、なんと遺品整理に100万円かかりました。

 

空き家の売却や相続の登記などには費用がかかります。片付けや遺品整理をプロに頼む場合も同様です。あとに残される家族のためにも、片付けの費用くらいは残したいものです。

          
ケース2 相続人に不在者がいる空き家
  

          

相続の際、相続人と連絡がつかないというケースがあります。きょうだいがすでに亡くなっていると、その子どもに相続の権利が発生するのですが、おい・めいの代となるとどんな人がいるのか把握するのも難しく、連絡もとりづらくなります。

 

相続財産に家があると、解体にも売却にも相続人の同意がないと決められず、手続きが進みません。今の段階で連絡がつかない身内がいる場合、将来このようなことが起きないとは言えません。自分が亡くなった後は誰が相続するのか、相続関係図を書いて、いざという時の心の準備をしておくことが大切です。

          
ケース3 自ら資産価値を下げた家
  

          

家の資産価値は、築年数や現状で大きく変わります。自ら資産価値を下げてしまった高齢男性のケースです。男性は一人暮らしで子どももいないため、住んでいた家を売って得た費用で高齢者施設に入ろうと考えました。長年住んだ家の中にはモノがたくさんあり、見積もりの際、片付け費用に100万円かかると言われました。高齢のため自分で片付けられず、結局、希望していた額を下回って売却しました。

 

将来、家の相続に困らないために、今からできることがあります。一つは、家の資産価値を維持するためにいい状態を保つことです。自分で資産価値を下げる必要はありません。二つ目は、法的な手続きについて調べておくことです。自分が亡くなる時のことを考えることは、今を豊かに生きることにつながります。先々にとらわれすぎず、少しずつ準備することが大切です。

 

※写真はイメージです

     

          

〈取材協力〉

ひろかね行政書士事務所・行政書士 廣兼喜久恵さん

土地の許認可や相続遺言を専門に活動している

     

  

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