空き家を売却する際、「どこに相談したらよいか」「本当に売れるのか」と、不安を抱える人は少なくない。前回(4/28掲載)に続き、群馬県宅地建物取引業協会の新井栄常務理事に不動産業者への相談や査定依頼する際の注意点について聞いた。
A.”田舎暮らし”のニーズの高まりやコロナ禍でテレワークが進んだことなどから、群馬が注目されています。ふるさと回帰支援センターの昨年のデータによると、群馬に興味を持つ40~60歳台の人たちが増え、問い合わせ件数も増加しています。興味を持つ人の中には群馬への移住を考えている人も多くいるようです。
これまで移住してきた人たちの傾向から、県内では交通機関の利便性の高いところや東京へ通勤できるエリアの人気が高いようです。ほかには、行政サービスの高いところや生活インフラの整ったエリア、”田舎暮らし”を楽しめる地域なども需要があります。
A.自分が買う立場だとしたら、きれいな家のほうがいいと感じるはずです。中古住宅は一般的に居住中でないほうが査定も売却もしやすいです。それは、生活感があることと、家の欠点などが分からないからです。空き家の場合は掃除や、住んでいた人の生活用品が残っている場合は整理をしておくのが良いでしょう。
更地にして売る場合にしても、庭木や庭石、エクステリアなどを含めるかどうかを確認しておくことが大切です。例えば売り主が更地にする際に庭木を伐採してしまうと、買い主から「あの庭木が気に入って購入を決めたのに」というトラブルが起こることがあるかもしれないからです。
もう一つ大切なことは、相続人の権利関係や物件の境界をきちんとしておくことです。境界がはっきりしていないと、登記などで測量費用などが発生する場合があります。まだ済んでいない場合は、不動産業者を窓口にしてきちんと済ませておくのがいいでしょう。
解体についてですが、解体の場合は売り主に経済的な負担がかかります。一般的には解体したほうが売却しやすいのですが、最近は、投資家が空き家を購入してリフォームするケースも増えてきました。庭で家庭菜園を楽しみたいという人には畑付きの空き家が好まれますし、趣味としてリノベーションしたい人、”田舎暮らし”を楽しみたいという人には家が古くても売れることがあります。ケースバイケースであることを知っておいてください。
不動産業者は賃貸が得意な業者や、仲介や開発が得意な業者など、それぞれに得手不得手があるものです。中古物件の扱い方や考え方は業者によっても異なります。その後の利用目的にあった業者を探すことができればいいのですが、業者によって提案が異なる場合がありますので、複数の業者に相談することは間違いではないと考えます。
いろいろな業者に相談をして、建物を解体するかどうかも含め、どのような方向で売却を進めていくか考えてみることが大切です。大切な財産を手放すわけですから、売却価格も合わせて納得のいく方法を選んでください。
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