地域再生大賞 活動の成果を広げよう

地域再生大賞 活動の成果を広げよう
       

上毛新聞など地方新聞47紙とNHK、共同通信が地域活性化の取り組みを応援する第15回地域再生大賞の受賞団体が決まり、表彰式がきょう、東京都内で開かれる。サブテーマは「今、ここで暮らしたい 切り拓(ひら)くエネルギー」。住民が支え合いながら、暮らしやすい社会を目指す多様な活動が各賞に選ばれた。少子高齢化や人口減少は全国に共通する喫緊の課題。受賞団体の成果を他の地域にも広げ、幅広い世代が輝ける社会づくりにつなげたい。

地域に活気をもたらす全国のプロジェクトを表彰する地域再生大賞は2010年度に始まった。大賞、準大賞、優秀賞などを設け、表彰数は今回の51団体を含めて延べ752となった。

本年度の大賞に選ばれた「そらいろコアラ」(栃木県真岡市、団体所在地は小山市)は、望まない妊娠や経済的困窮といった出産・子育て期のSOSをLINE(ライン)の無料相談で受け止め、安心して過ごせる居場所を提供している。メンバーは医師や助産師、看護師、社会福祉士といった専門家のほか、かつて悩みを経験した人、ボランティア。行政や医療機関と連携して約40の家庭を継続的に支援している。子ども食堂や親子体験イベントを開いて入り口のハードルを下げる工夫も凝らす。

準大賞2団体のうち、「ながよ光彩会」(長崎県長与町)は、午後になると駅員が不在となる町の基幹駅の構内に就労支援のカフェやショップを開設。高齢者や障害のある人がやりがいを持てる仕事づくりと、まちのにぎわいを両立させた。

空き家となった歴史的価値のある古民家を借り受け、分散型ホテルや店舗に活用し、観光の街に再生した「キタ・マネジメント」(愛媛県大洲市)も準大賞に選ばれた。再生した建造物は30棟以上で、新規出店や雇用創出に結び付けている。

本県から第1次選考を通過し、優秀賞を受賞した「南牧山村ぐらし支援協議会」(南牧村)も空き家を活用し、定住や2拠点生活を送る世帯の増加につないでいる。過疎化が進んで空き家が増える中、会員が物件を調査してホームページや現地で案内し、入居希望者の橋渡し役となっている。審査員からは現実的な路線での活動に対して好意的な受け止めがあった一方で、「いかに稼ぐかというモデルも提示できるようになるとより良い」という選評もあり、今後の活動のヒントになるだろう。

優秀賞はほかに、中高生の居場所づくりや高齢者の健康維持を促す活動、地域農産物を生かした取り組みなどがあった。

地域づくりには息の長い活動が欠かせない。第15回記念賞に選ばれた「抱樸(ほうぼく)と『希望のまちプロジェクト』」(北九州市)は36年以上、生活困窮者に対する伴走型の支援を続けてきた。ホームレスの人たちにおにぎりと豚汁を届けたのが活動の始まり。家族機能を社会化する挑戦が高く評価された。

受賞団体に共通するのは、関わる人たちの熱量だろう。サブタイトルがうたう「切り拓くエネルギー」がある地域は、未来への展望を感じさせる。

今回の審査結果と受賞した団体の活動、歴代の受賞団体は地域再生大賞の公式サイトで公表している。共通点を見つけ出し、横のつながりに発展させることもできるはずだ。課題を抱える地域が「暮らし続けたいまち」に再生することを期待したい。

  

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