別荘のサブスク人気 少ない費用で2拠点生活 地方移住きっかけにも

別荘のサブスク人気 少ない費用で2拠点生活 地方移住きっかけにも
       

各地の“別荘”を定額で利用できるサブスクリプション(サブスク)が注目を集めている。初期投資がいらず、比較的手の届く価格でさまざまな土地の暮らしを手軽に体験できるのが人気の理由。2拠点生活や地方移住への足掛かりとなるケースもあり、地元自治体との連携も始まっている。

 

2022年に運営を開始した「OURoom」(茨城県大洗町)は、「いつもの居場所がふたつある暮らし」をコンセプトに、茨城県と千葉県で展開する別荘サブスクだ。富裕層が余暇を過ごす場所という従来イメージとはひと味違い、コンテナや中古住宅を利用した宿泊物件は家庭的な雰囲気。「都心では味わえない眺望やのんびりした雰囲気を味わいつつも、日常の延長の感覚で過ごしてもらえたら」と創業者の平間一輝さんは話す。

千円の月会費に利用した分の宿泊費(平日1万6500円~)と清掃費が上乗せされる仕組み。2カ月に1回ほど利用するという千葉県在住の30代女性は「未就学の3人の子どもを自然の中で遊ばせることができるし、庭でBBQをするなど、ホテルや旅館よりも自由に家族の時間を過ごせる」と魅力を語る。

シェア別荘事業者「SANU」も、21年から別荘サブスク「SANU 2nd Home」を展開する。コンセプトは「自然の中にあるもう一つの家」。拠点は長野・軽井沢や兵庫・淡路島など避暑地や観光地を中心に全国29カ所(2月5日時点)。山小屋風のシリーズをはじめとするオリジナル建築が特徴だ。

「都市と地方を行き来するライフスタイルのための、インフラになると考えている」と広報担当者。月額5万5千円で、宿泊すると清掃費(3300円)などがかかる。利用者は都市部に住む30~40代がメインで、移住や2拠点生活に結びついた例もあるという。

こうしたサービスの広がりに、人口減に悩む地方自治体も熱い視線を送る。山梨県はSANUと「二拠点居住推進協定」を締結し、利用者の声を提供してもらうなど関係を強化。大洗町もOURoomと連携し、町が開催する「二拠点居住体験ツアー」の滞在先に同社の物件を利用している。
大洗町地域おこし協力隊の萬里小路(までのこうじ)忠昭さんは「地元スーパーで食材を買って調理するなど観光ではなく暮らしを体感してもらい、2拠点生活を送る関係人口の増加につなげたい」と期待する。別荘サブスクが人気を集める背景には、人々の意識の変化があると萬里小路さんはみる。「コロナ禍で一つの場所にとどまらない暮らし方や働き方が関心を集めるようになった。今後、『定住』は古い概念になっていくのではないでしょうか」

  

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