1棟貸し宿泊が拡大 「施設側」少ない人手で/「客側」周り気にせず

1棟貸し宿泊が拡大 「施設側」少ない人手で/「客側」周り気にせず
       

建物を丸ごと貸し出す「1棟貸し」の宿泊施設が県内で拡大している。1組の客を相手にするためスタッフは最小限で済み、人手不足や人件費の高騰に悩まされる宿泊業界で注目を集めている。周りを気にせずに宿泊したいファミリーや学生の需要を取り込む新たな宿泊スタイルとして定着しつつある。

赤城山を望む自然豊かな場所にたたずむ「1棟貸切宿 ナマケモノ」(前橋市滝窪町)は昨年12月に開業した。スーパーやコンビニに近く利便性は高いが、周辺の民家は少なく、伸び伸びと過ごせる。専用のサウナやたき火スペースを併設するほか、ファミリー層の利用を見込み、動画が見られるプロジェクターやトランポリンを設置して子どもが飽きない工夫を施す。

アウトドア用品店やグランピング施設での勤務経験がある小久保頼和さん(43)=太田市=が築40年ほどの空き家を買い取り、改修。初期費用はかさんだが、サービスは受け付けと清掃で済むため1人で切り盛りでき、採算が取りやすいという。年末年始は全て宿泊客で埋まり、「おもむきのある家で非日常を過ごしたい人のニーズがある。観光よりも宿に泊まることを目的とする人が多い」と手応えをつかむ。

ホテル1―2―3前橋マーキュリー(前橋市大友町)を運営するウラノス(東京都大田区)は、同市問屋町に1棟貸しの宿泊施設「GUNPAKU(グンパク)Maebashi」を昨年オープンした。同社の1棟貸しは新業態で、グンパク専用のスタッフは置かない。緊急時の対応や清掃などは車で数分ほどの前橋マーキュリーのスタッフが行い、人手を抑える。

1棟貸しは観光地にも広がる。草津温泉(草津町)のシンボル、湯畑から徒歩10分程度の場所にある「ヤマボウシ」は、同町の小森恵子さんが元々営んでいた贈答品を扱う小売店を改装して一昨年に開いた。入浴施設が近くにあるため、風呂を設置しないなど最低限の投資で済ませた。小森さんは「草津もファミリーや学生の若い客層が増え、周りに気を使わなくていい1棟貸しが求められている」と分析する。

前橋市富士見町のほか、山梨、千葉両県で1棟貸し古民家を展開するLOOOF(るうふ、山梨県笛吹市)は、まだ1棟貸しが一般化していなかった14年に創業。保要佳江社長は1棟貸しの広がりについて「コロナ禍を機に貸し切りの泊まり方が普及した」と指摘。経営上のメリットについて、「多くの従業員を抱えなくて良い。特に地方は家賃などの固定費も低く抑えられ、稼働率が低くても利益が上げられる」と説明する。

  

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