住民の素直な声伝える 移住、定住促進へ情報サイト

住民の素直な声伝える 移住、定住促進へ情報サイト
       

「派手さはないけど良いところ」「仕事も住む所もない場所」―。みなかみ町湯宿温泉の情報を伝えるサイト「のぼせる湯宿」の住民インタビューには、地域の魅力を伝える言葉だけではなく、ネガティブな発言も掲載されている。サイトを運営する「ゆじゅくリノベ」の本多工代表(57)は「うそを言っても仕方ない。あえてそのままを伝えている」と屈託なく笑う。

移住や定住を促進しようと、昨年、住民を中心としたまちづくり団体「ゆじゅくリノベ」を設立し、同サイトを立ち上げた。空き家情報やリノベーションの実例を発信するほか、町の地域おこし協力隊員がライターを務め、旅館や飲食店を営む住民の素直な声を伝えている。

本業は理髪店だが、空き家を持つ住民から「良い借り手はいないか」と相談されることもある。そうした情報を基に、地域内外の人をつなげるハブの役割を担う。「若い人を持ち上げたり、地域とつないであげたりすることで、その意志や力を生かしたい」と話す。

湯宿温泉で生まれ育ち、大学卒業後は沼田商工会議所で働いた。34歳の時に理髪店を営む父が亡くなり、店を継いだ。同時に、にぎわいを失って衰退した温泉街に危機感を抱き「将来、自分の子どもは戻ってきてくれるだろうか。町が無くなる前に何かしなければ」と考えた。

客として来店した町職員と協力し、野外映画会を企画。2018年以降に5回開催し、昨年は県内外から約150人が集まった。交流人口が増え、移住希望者に向けて情報を発信したいと考えていたところ、元地域おこし協力隊員の男性が協力。サイトの作成や運営を担当してもらい、「のぼせる湯宿」が生まれた。

情報を発信したりイベントを開いたりすることで注目度を高め、人の流れをつくり出し、町を活性化するのが目標だ。「遠回りだけど、未来がないとつまらない。次はマルシェをやってみたい」。人と人をつなぎ、町の未来をつなげる取り組みは続く。

 

【取材後記】
◎懐の深い温泉地、今後の動き注目

2月初旬、湯宿温泉を歩いた。人影は少なかったが、共同風呂や石畳の道は往時をしのばせる雰囲気があった。近年は若者や移住者によって新たな魅力も生まれつつある。昨年、観葉植物を扱うカフェができ、3月には薬膳茶の販売や整体を行う店が開店する予定。

湯宿温泉には移住者や若者を受け入れる懐の深さ、挑戦を後押しする環境が整っている。今後どのような動きが生まれるか、注目していきたい。

  

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