「1人で留守番させるのは不安」「タブレット端末ばかりいじってしまう」―。夏休み中の子どもの面倒が見られない共働き家庭などの保護者が協力して、地域の小学生を預かる共助の取り組みが、吉岡町内で広がっている。公民館や住民センターなどに子どもを集め、その母親が日替わりのボランティアで見守る仕組み。子どもの安全確保や規則正しい生活の維持に役立っている。
先駆けとなったのは、大久保寺上自治会内のボランティアグループ「ひばりの巣寺上」(内田伸一代表)。新型コロナウイルス感染症が流行した2020年夏から、児童を育てるメンバーの発案で始めた。時間は午前8時半~午後3時で、今年は土日祝日とお盆期間を除く平日25日間。子どもだけでの留守番に不安のある保護者らが活用しており、駒寄小の児童15人が利用登録をしている。
初日となった7月22日、会場となった地元の公会堂では、2~5年生6人が時間割に沿って、宿題や遊びをして仲良く過ごしていた。長女の緋奈乃さん(10)を預ける新井香奈さん(48)は「子どもが1人でいると家でデジタルデバイスを使う時間が増えてしまう。友だちと遊べる環境があるのは助かる」と話した。
内田代表によると、同様の取り組みが町内のほか二つの自治会区域でも始まっている。駒寄自治会の地域では23年、「寺子屋げんき」(横山麻衣代表)が発足。同団体は、住民センターや地元住民が管理する空き家などを活用し、日によっては、カレー作りや川遊びといった体験活動も取り入れている。
同月30日は駒寄住民センターで小学3~4年生3人が勉強やスポーツをして過ごしていた。子どもたちは「みんなと遊べて楽しい」「友だちが増えた」と元気いっぱいの様子だった。
活動が2年目を迎え、一定の需要がある一方で、利用人数は伸び悩んでいる。自治会の回覧板や子ども会育成会の交流サイト(SNS)を通じて周知したが、今年の登録は6世帯7人だった。
利用者が3人以上の日に活動を実施しているといい、今夏は14日間にとどまっている。利用者が増えれば、預けられる日数も多くなり、当番制のボランティアの保護者の負担軽減につながるため、横山代表は「もっと増えたら、運営しやすいのだけど」と話す。