国勢調査に基づく推計値となる5月1日時点の県移動人口調査=ズーム=が27日公表され、桐生市の人口は前月比190人減の9万9851人となり、70年ぶりに10万人の大台を割った。同市は1954年の合併で初めて10万人を突破し、ピーク時には13万5千人に達していた。深刻な少子高齢化に悩む現状が反映された形となった。
同調査によると、同市では4月、31人が生まれたが、175人が亡くなり、144人の自然減。328人が転入し、374人が転出したため46人の社会減となり、合わせると前月から190人減った。前年同月比では1691人減。
1947年の国勢調査で同市は県内1位の9万1482人を数えた。住民基本台帳上では54年10月の梅田、相生、川内の3村との合併で一気に約11万9千人に増え、76年の13万5929人をピークに減少に転じた。2005年の新里、黒保根の2村との合併で13万人台に戻ったものの、その後も減少が続いていた。
市によると、高齢化率は37・35%(4月1日)で、1人の女性が生涯に産む子どもの数を推定した合計特殊出生率は0・95(22年)。有識者らでつくる民間組織「人口戦略会議」が4月に公表した将来推計で、将来的に「消滅の可能性がある」都市に位置付けられている。市企画課は「進学や就職を機に若者や女性が地元を離れ、戻らない傾向がある」と分析する。
対策として移住による社会増を目指し、昨年8月に窓口となる「市移住支援フロント むすびすむ桐生」を開設。市の魅力PRや、起業を含む移住相談に取り組んでいる。
来月には若者と女性の移住や定住対策の立案に向け、課長級職員らでつくる検討委員会を立ち上げる。女性や若者をターゲットに転入促進と転出抑制の施策を考えたり、出生率向上のアイデアを話し合う。9月下旬を目標に荒木恵司市長に提言する方針だ。
荒木市長は22日の定例会見で10万人割れの可能性を問われ「現実として受け止め、社会減、自然減にしっかり対応したい。人口減の中で、桐生市がどのような姿を目指すべきかを示し、心豊かなまちづくりができる施策を進めたい」と述べた。
【ズーム】県移動人口調査
5年に一度の国勢調査の人口から各市町村の出生、死亡、転出入の数を加減して推計し、県が毎月公表している。調査時点の居住実態を反映する国勢調査では、住民票を移さない転居者や長期渡航者は数えられないため、住民基本台帳の人口と一致しない傾向にある。桐生市も住民基本台帳上の人口は4月末現在で10万2143人とされている。