「市町村」危機感募らす 少子化対策、振興策に苦慮 消滅の可能性

「市町村」危機感募らす 少子化対策、振興策に苦慮 消滅の可能性
       

民間組織「人口戦略会議」が全国の20~30代女性の人口減少率を分析し、将来的に「消滅の可能性がある」と見なした744市町村を公表した24日、該当した県内の市町村からは少子化対策への苦慮や、地域振興策を見直す必要性を指摘する声が聞かれた。

若年女性人口減少率が88・0%となり、前回に続いて消滅可能性が全国で最も高いとされた南牧村。2050年に若年女性が6人になると指摘され、新井武総務部長(59)は「6人という数字には驚いた」と危機感をあらわにした。本年度から学習塾への送迎にかかるガソリン代の補助を始めるなど、子育て世帯の定着に注力している。
同減少率が80・7%と県内で2番目に高かった下仁田町は「子育て支援や移住促進を図ってきたが、改善につながっていない」と分析。山間部にあり、工場誘致などの雇用創出面での課題を挙げた。
藤岡、富岡両市と板倉町は、今回から消滅可能性がある自治体に加わった。人口減少が進む藤岡市は「工業団地の造成や企業誘致を積極的に行う」とし、富岡市の担当者は「子育て支援や教育の充実といった施策を進めたい」と受け止めた。子どもの医療費や小中学校の給食費無料化などに取り組んできた板倉町は「コメントすることはない」とした。
消滅可能性自治体から脱却した自治体もある。高山村は近年、移住世帯数が増加傾向にあり、昨年、移住や定住を仲介するコーディネーターを増員した。村地域振興課は「(脱却は)ひとつの指標に過ぎない。人口減対策を続ける必要がある」とする。
大泉町は企業誘致など雇用の場の確保に加え、子育て支援として2014年に5%だった学校給食の材料費の補助を36%まで高めた。産後、助産院などに宿泊し支援を受けられる制度を設け、本年度から無償化した。邑楽町は南地区周辺の住宅新築の制限を緩和したことや、第2子以降の給食費を無料化したことなどで、移住者の流入や若い世代の定着につながったとみる。
40店以上のテナントが集まる複合商業施設「ジョイホンパーク吉岡」が開業し、周辺道路の整備も進んだ吉岡町は、県内で唯一、若年女性の人口を100年後も5割ほどを維持できると見込まれる「自立持続可能性自治体」に分類された。町企画財政課企画室は、地価の安さなどから移住しやすい環境にあると評価する一方で、10年前と比べて若年女性の減少率は悪化していることから「分類結果に甘んじず、暮らしやすい町づくりに努める」とした。

  

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