千葉県から中之条町六合地区に昨年移住したアーティスト、相田永美さん(32)が、アトリエ兼ギャラリー「あるところにないところ」を開業した。町地域おこし協力隊の夫、哲也さん(34)と10月に移住。入山集落にある築200年の古民家を改装したギャラリーに永美さんの絵画や陶器が並び、物語の世界のような空間が広がっている。
永美さんは8年ほど前から現象や目に見えない気配、風景を生き物のように捉え、繊細な線画や陶器で表現。移住前は制作した作品を自宅で不定期に販売し、個展やグループ展で発表してきた。
木造2階建ての古民家は元養蚕家屋。かやぶき屋根や太い梁(はり)、土壁を生かし、不動産業の経験を持つ哲也さんが改装した。屋根や壁の隙間から日が差す空間に、永美さんの作品と近くで拾った木や植物を飾っている。
山や古民家は好きだったが、移住は考えていなかった。転機は2年前の8月、同町赤岩地域に移住した知人を夫妻で訪ねたこと。「山の風景が忘れられなかった」と2人で移住を決め、1カ月後には古民家の物件を見学した。移住の準備で昨春までに数回、千葉から車で通い、厳しい冬の降雪期も確認した。集落の人たちの温かい歓迎も移住の決め手となった。
哲也さんと協力してカフェ営業や、2階にアトリエ小屋を設ける準備を進めている。永美さんは「景色も含めてこの空間が好きな人に来てほしい。ゆっくり過ごしてアートに触れていって」と来場を呼びかける。
午前10時~午後6時。要予約。営業日はギャラリーのホームページから確認できる。