人口減少や高齢化を背景に増加している空き家について考える「空き家セミナー・個別相談会」(上毛新聞社主催)が7月13日、県庁31階のソーシャルマルシェ&キッチン「ギンガム」で初めて開かれた。県内各地から約50人が参加し、行政書士の広兼喜久恵さんが対策の要点について解説。「ぐんまの空き家お悩み解決隊」に参加する6社による個別相談も行われた。
第1部の「空き家セミナー」では、行政書士の広兼喜久恵さんが「実家が空き家になったらどうするの?」をテーマに講演した。広兼さんは、空き家対策では防犯・防災・衛生の三つの視点が必要と指摘。群馬県内の事例として、窓ガラスを割られて空き巣に入られたり、知らない人が住みついたりした被害を紹介し、空き家を放置するリスクについて啓発した。
空き家が長期化する場合は、不動産とその権利関係に問題があるケースが多い。住宅の建築が制限される市街化調整区域に当たっている、道路と高低差のある土地で売りづらい、相続者が不在など多岐にわたる。
広兼さんは「空き家問題には行政書士、不動産業者、司法書士などさまざまな専門家の力が必要。まずは一人の専門家に相談して。専門分野が違っても、ネットワークを生かして適切なプロを紹介してくれるはず」と呼び掛けた。
空き家問題の解決を目指し、すみかくらぶ編集室は2022年4月、読者と専門家をつなぐ「空き家(空き地)のお悩み相談窓口」を開設した。現在は不動産会社や行政書士など12社の解決隊と連携して、相談者に対応している。
これまでの相談件数は計169件で、不動産の相続登記義務化が始まった4月以降は増加傾向にある。不動産の所有者を明らかにするため、相続人になってから3年以内の申請が義務化。義務化以前に取得した人も対象で、申請期限を過ぎた場合、10万円以下の過料が科される。空き家関連の法改正により、対策への関心も高まっている。
セミナーでは、相談窓口を通じて空き家問題が解決した事例を紹介した。相談から約1カ月で「スピード売却」した物件や、築100年以上の古民家が贈与という形で活用につながったケースも。
相談窓口の担当者は、解決への近道として①空き家になったタイミングで相談する②自己判断で「売れない」と決めない③時間がかかるのが当たり前と覚悟する—の3点を紹介。「空き家が長期化してから、もっと早く動いていればと後悔することも多いと聞く。気になったらすぐに相談窓口を活用して」と呼び掛けた。
事前に希望した18人を対象に、解決隊の6社による個別相談会も開催した。参加者は各ブースに分かれて相談し、所有する空き家の処理や手放す際の事前準備について具体的な助言を受けた。
個別相談に参加した榛東村の女性(57)は「実家をどうするかをずっと悩んでいた。話を聞いてもらい、専門家の手を借りる決意がついた」と笑顔で話した。太田市の男性(62)は「空き家に悩む人は思った以上に多く驚いた。売却したり、直して活用したり、さまざまな解決方法があると分かり、行動する勇気をもらえた」と喜んだ。
上毛新聞社が運営する「空き家のお悩み相談室」は
TEL:027-254-9951
mail:sumika@raijin.com